イベント・行事のご案内

●フォーラム/研究会 他

第7回水環境技術研究会 報告

大阪府立高専 一般教養科講師 北野健一

平成12年8月26日(土)午後から翌27日(日)午前中にかけて、第7回水環境技術研究会が宇部高専大会議室で開催された。この研究会の直前まで、日本高専学会第6回総会・研究発表会が同じ会場で開催されていたということもあり、そのまま引き続いて研究会に出席した方も多かったようだ(筆者もその一人である)。

研究会のプログラムを以下に記す。

【プログラム】

8月26日(土)
13:30〜 宇部高専総合技術教育センター長挨拶 村上定瞭
13:40〜 水環境技術研究会会長挨拶 深川勝之

第一部 研究発表(講演) 13:45〜17:30
座長 上野知治
(1) 生態工学的手法による海水の浄化と循環システムに関する研究
宇部高専 ○林田鮎美・丁田由紀子・深川勝之・原田利男
山口大学工学部 今井 剛
(2) 高速回転ディスクによる有機性廃棄物のBOD化に関する研究
宇部高専 ○汐重 啓・深川勝之・北本孝洋
山口大学工学部 村上裕子・今井 剛
(3) 多種混合プラスチック廃棄物のマテリアルリサイクル技術の開発
宇部高専 ○加納 恵・田村光昭・山崎博人・深川勝之
座長  汐重 啓
(4) 廃棄物を利用した機能性材料の創製
宇部高専 ○有富晃典・久冨木志郎・三吉克己・原田利男・深川勝之
海水化学工業株式会社 松村宏是・常森いつ紀
(5) エアリフトポンプの揚液特性(旋回気液二相流の効果)
神戸高専 ○門脇洋志・赤対秀明
徳山高専 渡辺勝利・大成博文・佐賀孝徳
座長  久冨木志郎
(6) ダムの水質浄化実験における最近の成果
中電技術コンサルタント(株) 松尾克美・山原康嗣
(7) 養豚場の排水処理について
コダマ工業(株) 大平泰二
(8) 【特別講演】新しい水処理技術の方向性に関する一考察
海水化学工業株式会社 常森いつ紀
懇親会  常盤工業会館1F 17:30〜
8月27日(日)
第二部 研究発表(講演) 9:00〜12:10
座長  赤対秀明
(9) ハイテク分野における難分解性工業排水の処理技術の開発
- ABS樹脂製造排水について −
宇部高専 加納志保・竹内正美・○村上定瞭
山口県産業技術センター 有村一雄
(10) マイクロバブルの洗浄効果
有明高専 氷室昭三
(11) マイクロバブル技術の進展状況と今後の課題
徳山高専 大成博文
座長  氷室昭三
(12) 構想設計の重要性
有限会社ハイ・サーブ ○石丸祐司
(13) 家庭でできる中水、雨水利用と将来の展望
イー・ティー・エス株式会社 ○横井 誠
(14) 立坑を利用した嫌気性処理装置について
株式会社コプロス 廣川宏康・久木田将之・○古賀博之

閉式の辞 氷室昭三




発表件数は、産6件、学6件、産学の共同研究1件、官学の共同研究1件、計14件であった。まさに産、学、官の枠を超えた研究会にふさわしい理想的な発表件数であった。講演時間は、質疑応答も含めて、学生15分、教員・企業関係者30分、特別講演は80分であった。

今回は、前回からの申し送り事項として、講演予稿集を作成した。今回は事務局久冨木先生(宇部高専)のご尽力で無料で配布されたが、次回の研究会から資料代としてある程度の参加登録費を徴収した方がよいという意見があった。1日目前半のセッション(学生発表)は前回に引き続き、学生(宇部高専の上野知治君および汐重 啓君)が座長を立派に務めた。特別講演は、海水化学工業株式会社の常森いつ紀氏より「新しい水処理技術の方向性に関する一考察」と題した講演があった。最近の生活水系における水処理技術の動向および今後のビオトープ整備についての展望と課題について、わかりやすくお話があった。「販売専門の代理店とは付き合わない。これからは技術をもっていないと生き残れない」「これからの環境問題は水だけとか、空気だけとかではだめで、複合的に考えねばいけない」「5年後には思い切ってやってよかったと言われるよう、総売り上げの10.5%を研究費として投入している」「これからは知的所有権が重要である」等の言葉が私の心に残った。懇親会は、常盤工業会館1階の和室で行われた。よくある立食形式の懇親会とは異なり、まさに膝と膝を突き合わせた議論や情報交換ができ、大変有意義であった。またこの場で、任期満了に伴い研究会会長を深川先生(宇部高専)から氷室先生(有明高専)に交代する旨が提案され了承された。

研究会2日目は、村上先生(宇部高専)より各種工業廃水の処理技術について、氷室先生(有明高専)からはマイクロバブルを用いた洗剤を使わない洗濯法について、大成先生からはマイクロバブルによるカキの成長促進について、それぞれ講演があった。後半は企業の方による発表が3件あった。そのうち、石丸氏(有限会社ハイ・サーブ)の講演は「プロジェクトの価値は構想の段階で70%が決まる」という内容で説得力があった。

筆者は今回の研究会が初参加である。筆者はこれまで「混合金属錯体の合成と性質」をテーマに研究を行ってきた。また、企業の方と共同研究をさせていただいたこともないし、企業の方の講演を聴く機会も少なかった。

つまり、自らの狭い専門の世界に閉じこもっていたわけである。筆者は一般化学を教えているので、化学に関することであれば、理学であろうが、工学であろうが、技術的なことであろうが、普段から広く勉強し、それを学生へのフィードバックに生かさねばならない。今回、自らの勉強不足を痛感するとともに、もっと幅広い分野に常に興味をもっておく必要性を感じた。

本研究会にご興味のある方は、次期研究会会長有明高専・氷室先生(本学会学会誌の編集委員長も兼ねておられます)に御連絡下さい。


フォーラム/研究会 他のページに戻る

↑ページトップへ